【家庭教育の力】子どもの未来を育てる親の関わりとは？

最終更新日：2025年6月29日

なぜ今、「家庭教育」が注目されているのか

近年、教育現場では「非認知能力」や「個別最適化された学び」などの言葉が注目されています。その背景には、テストの点数だけでは測れない“人間力”の重要性が見直されているという潮流があります。

そこで改めて注目されているのが「家庭教育」です。これは、家庭という生活空間の中で、親や家族が自然と行う教育的な関わりを指します。言葉づかい、食事のマナー、時間の使い方、物事の捉え方など、日々の暮らしそのものが教育となるのです。

AIやデジタル教材が進化する中でも、家庭での“人と人との関わり”は代替できません。それが子どもの人格形成に大きな影響を与えるため、今こそ家庭教育の価値が問われています。

文部科学省では、家庭教育を「子どもが人として生きていくための基礎を培う最も重要な教育」と定義しています。つまり、学力よりも先に土台としての人格や習慣、価値観を育てる役割を果たすのが家庭教育です。

たとえば、「ありがとう」「ごめんなさい」が素直に言えるようになるのは、家庭でのやり取りがあってこそ。外ではなく、まず家の中で“生き方の模範”に触れることで、子どもは心を育んでいきます。

学校教育は「学問的知識」や「社会性」を育てる場所である一方、家庭教育は「生きる力」や「情緒面の安定」を支える空間です。両者は対立ではなく、相互補完の関係にあります。

たとえば、学校で集団行動を学んだ子が、それを実践するのは家庭内のルールや家族の在り方の中です。また、家庭で育まれた自己肯定感は、学校生活の自信や挑戦する勇気につながっていきます。

つまり、どちらかが欠けても子どもの成長は不完全になるのです。

多くの研究から、家庭教育がもたらす影響は学力だけでなく、子どもの心にも深く及ぶことが分かっています。

特に乳幼児期から「毎日の会話」や「読み聞かせ」を通して親子の信頼関係が築かれることで、子どものメンタル面の安定や学びへの意欲が高まるという傾向があります。

「忙しくて時間が取れない」「つい感情的に叱ってしまう」「何を教えればいいかわからない」など、家庭教育には悩みがつきものです。

大切なのは“完璧を目指さない”こと。たとえ数分でも、目を見て子どもの話を聞く、名前を呼んで褒める、共に笑う。そうした小さな行動の積み重ねが、家庭教育になります。

また、家庭で「感情を言語化する」場面を意識的に作ることで、子ども自身も感情を整理できるようになり、自己理解にもつながります。

家庭教育は、特別なスキルや教材を必要とするものではありません。むしろ日々の「関わり」が最大の教材です。親が背中を見せ、愛情を伝え、信頼で包むことで、子どもは健やかに育ちます。

家庭での一瞬一瞬が、子どもにとって一生ものの「教育」になることを、今一度見つめ直してみましょう。